『水をかけられたいか?』
この問いかけに対して、殆どの人は、
『かけられたくない!!』と答えるだろう。
だが、それを好む人たちがいる(おいおい、嘘つくな・・)
ある人はこう呼ぶだろう、『変人』と。
いや、この記事を読んだあとは、こう言うだろう、彼らは『勇者』だと。
今回のプチプランは、そんな勇者たちの物語である。
風鈴の音により涼をとり、
次に水浴びをして涼む、
ごく当たり前の日本の夏の光景である。
そして、それを実践できるのが、この日なのだ。
池上本門寺から来たので、JR蒲田駅から京急蒲田駅まで歩かなくてはならない、
この夏の炎天下では、かなりの苦痛だ。
近代的な駅舎である、京急蒲田駅。
京急蒲田駅を出て2つ目の駅、大森町駅で降車、あまり馴染みがない駅である、
初めて降りる駅のような気がするが、どうだったかな?
どうでも良いことを考えてながら、道を歩く、目的地は徒歩8分ほどである。
曲がる場所を間違え、グルっと周ることになる、
それにしても暑い!!
『水でもかけてほしいぐらいだ!!』
!?
『やべえ、言ってはいけない事を言ってしまった・・・・・・。』
目的地は厳正寺だ。
厳正寺に12:15に到着した。
計画通りの理想的な時間だ、遅すぎず、早すぎず・・・。
『水止舞の寺』の碑
境内には舞台が出来上がっている。
本堂の扉は閉まっており、法事が行われているのだろう。
少し絵を引いてみると、鳩が庭に二羽いる?!
『暑さでどうかしているな・・・、水で顔でも洗いたいものだ。』
?!
『やべえ!! 言ってはいけないことを言ってしまった!』
厳正寺の住所:大田区大森東3-7-27。
山門の下には、案内所になっており、パンプレット(無料)と手ぬぐい(¥1,000)を購入。
おじさん、手ぬぐい買う時、『買うの? 買ってくれるのかい』という感じがしたのだが、私の気のせいだな、きっと(笑)
祭りに行くたびに手ぬぐいが増えていく、やはり祭りを見せてもらう以上は、
協力しないとね。
そして、『龍神の藁』を頂きました。
この道が数十分後には、『地獄の道』へと変わる(笑)
日本中、どこにでもありそうな生活道である、
夏の昼下がりの生活道・・・。
『さぞかし、アスファルトは熱いだろうな・・・。』
大田区立大森東中学校に向かう、
ここが全ての始まりの地である。
12:22、大森東中学校に到着。
お気づきだろうか?
なんの変哲の無い夏の中学校の校門であるが、なにか違和感を感じるよ。
違和感の正体はこれだ!!
ワラがとぐろを巻いている、それも2体も。
ワラで編んだ縄(七五三縄)を渦巻き状に巻きあげたものである。
そのワラには龍の頭がついている。
正面から見てみよう。
どこからみても龍だな・・・。
なんと外国人観光客も来ている、国際的な祭りになったといってもよいだろう。
開始35分前である、周りには、見物客約6・7人が既に待機している。
祭男達が現れ、地面に水を撒き始める。
まだ大人しい・・・。
中学校からホースをつなぎ、水を注入する、そして水と戯れる男たち、
水が気持ちよさそうだ。
?!
『やべえ、言ってもいけねえことを言ってしまっただ・・』
厳正寺に続く道(生活道)にも水をかけ、熱をとっていく。
12:45頃、子供達が入ってきた。
獅子3匹と花籠2人が入ってきた!!
これから始まる!!という高揚感がでてくる、役者はそろった。
12:50頃、ワラ2つが移動される。
2つのワラ、2つの龍が定位置に陣をとった。
中をのぞいている、人ひとりが入れそうな大きさだな。
白装束を身に着け・ねじり鉢巻きを付け、法螺貝を持つ男2人が現れた。
この二人は『龍神役 』として演じる、この祭の主役と言ってもよい。
龍神役がワラに入る。
龍神役の背中には龍の絵がある、
周りの男達の法被には龍の鱗だろうか、そのような模様となっている。
これは北条氏の家紋と龍の鱗をかけているのだろうか。
定刻通り、13:00開始。
これから世界で最も長い150mとなる!!
『道行(みちゆき)』が始まる。
この前半は、雨乞いの儀式である、そして法螺貝が鳴り響く。
2人の龍神は横にされる、自分の力では動けないので、
できるのは法螺貝を吹くだけとなる。
前から、後から容赦なく、水が飛んでくる!!
バケツから、ホースから、逃げるすべ無し!!!
皆、被弾覚悟でカメラを向ける!!!
バケツからのぶっかけは、時として滝のごとし!!
虹が出た!!
龍神(ワラ男)はこのように移動していく。
そして法螺貝を吹く。
オロナミンCの『ファイト一発!!』のCMのよう。
2人で苦難を乗り越えていくぞ的な・・・。
さらに水をかけられる。
周りの見物人にも容赦なく、水がかけられる。
皆、カメラを守りながらの撮影だ、
そして途中からマイクの聞こえが悪くなった・・・・。
前日に購入した100均のレインコートを着込み、こちらも応対(笑)
ハンドタオルで顔とカメラを拭きながら、進む。
まさに命がけだ!!(笑)
龍神にも疲労が見えてきた。
しかし勘違いしないでほしい!!
龍神は、水をかけられ喜び、法螺貝を吹くことにより、喜びを表現しているのだ!
(決して苦痛ではないのだ・・・ 説得力0・・・)
龍神も力を振り絞り、法螺貝を吹く。
真ん中の子供が『なんで、ここまでするの?』『何やっているんだろう?』と
思っていそうな顔に見える(笑)
これが神事だからだ。
ここから水が補給されている、補給に限りはない!
魚政が補給基地となっている。
前後ともに見物人が多い。
写っていないが、龍神の後ろには、青竹で地面を叩きつけながら、牡丹が描かれた扇をかざす子供達の警固、
笛頭を先頭にした笛師連、花笠をかぶり、ささらを鳴らす花籠が続く。
列の最後には、水止舞の主役、三匹の獅子が太鼓を叩きながら練り歩く。
13:22、厳正寺に到達する。
もう少しである!
まだまだ、水の洗礼が続く。
山門を通過してくる。
1体目が舞台に到着。
次の龍神が引き上げられる。
舞台に上げられると体を解かれしまう為、龍神は必至に抵抗するのだ。
抵抗する龍神を問答無用で引っ張っていく。
13:28、2体とも舞台に到着した。
ワラが解体されて、舞台の周りに置かれる。
獅子と花笠が入ってくる。
ここからは第2部となる。
『水止舞(みずとめのまい)』は、
文字通りに水を止めること(雨を止めること)を願う祭りである。
水止舞は、1321年に遡る、ここ武蔵の国が干ばつに襲われた際、住職・第二世法蜜上人がワラで龍の像を造り、祈祷をささげて雨を降らせた。
その2年後、長雨の影響をうけ、田畑が水害にあってしまう、
村人はこの長雨は住職の祈祷のせいであると恨むようになった。
住職は、獅子の仮面を造り、それを『水止(しし)』と命名する、
それを村人に被らせ、舞わせて、法螺貝を吹かせ、太鼓を叩かせ、龍神に祈祷をした、その水止の祈祷により雨が止んだ。
村人はその感謝の心から、『水止舞』を奉納することにしたという。
『 水止舞』は毎年7月14日に行われる、
そして雨天決行!!!
『当たり前だ!!!!!!!!』
では、その感謝の舞『水止舞』を見よう。
しかし安心してほしい、
水攻めの後は、灼熱地獄が待っているのだ、この炎天下で1時間30分はかなりのしんどさとなる、
踊り手はもっとしんどいだろう、無事に終わることを祈りつつ、みてみよう。
『三匹獅子舞』である
花籠の2人のささらと正面の男衆の横笛の伴奏により、
獅子は自らの腹にくくりつけた太鼓を打ちながら、水止(しし)舞を踊る。
獅子はそれぞれ、赤い面の雄獅子(大水止)、黒い面の若獅子(中水止)、金の面の雌獅子(女水止)と呼ばれている。
14時過ぎ、一時の休憩に入る、後半戦は演者を替えて行われる。
通しで臨んでいた人もいましたが。
水止舞は、
(1)雌獅子の舞(女水止舞)
(2)出羽の舞
(3)大若女・水止舞(トーヒャロ)
(4)コホホーンの舞
(5)雌獅子かくしの舞
水止舞の最高の舞とのこと、その為かなりの長丁場となる。
花籠の間に雌獅子を隠す。
(6)仲良く3匹が躍る
これが最後の演目である。
演舞の終了後は、獅子の頭を被せてくれる、無病息災を祈願しよう、
雄獅子は女性に、雌獅子は男性となる。
最後は記念撮影。
テレビ局(地元)がきており、番組名を全員で言って締めとなった。
この水止舞の記事はハトで締めよう。
水止舞を見に行こう! 完