越後湯沢の老舗旅館・高半(たかはん)に行ってきました。
その時の宿泊記を書いていこうと思う。
川端康成といえば、小説『伊豆の踊子』『雪国』が有名な二大巨頭だろう。
伊豆の踊子の舞台は湯ヶ島から河津にかけての伊豆半島が舞台となっている
一方、『雪国』の舞台は新潟県越後湯沢である。
今回の旅日記は、小説『雪国』の舞台へ行ってみようと思う。
越後湯沢へ行くのであれば、冬がいいだろうと思う人も多いだろう、
いやいや、ダメだ、冬の雪国など寒くて行ってられない・・(笑)
では行ってみよう、KITの気ままな旅日記『雪国』編!!
仕事を終えて東京駅に直行、
というか、
ここまではいつもの通勤と同じルートだ、いつもは自宅の横浜へ帰るのだが、
今日は真逆の方向、新潟行き・上越新幹線MAXときに乗車する。
会社帰りの旅行は久しぶりであり、高揚感が少しだけある、
と同時に「いびつな旅だな・・・。」とも呆れる自分がいる。
MAXときの場合、2階建て車両のため上の車両に乗らないと景色が最悪となる、
でも夜だし、あまり気にしなくてもいいのかもしれないが。
そして越後湯沢駅にあっさりと到着。
東京から、なんと1時15分ほどで行けてしまう、それが最も近い新潟・越後湯沢だ。
「新幹線、万歳!!」
ちなみに同じ出発時間で新幹線を使わず越後湯沢に行く場合、その日には着くことが
できない・・・。
「近くて、遠い越後湯沢」ともいえるだろう。
小説『雪国』の書き出し部分はもっとも有名な一節、
そのフレーズを知らない日本人を探すほうが難しいかもしれない。
『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった・・・』
それを肌で感じる為には、新幹線ではなく在来線(上越本線)で行くべきなのだろう
が、今の私にはゆっくりできる時間がない、だから新幹線で一気に飛ぶしかない。
小説にでてくるトンネルは清水トンネルという、関東平野をひた走り、トンネルを抜け
ると世界が変わる、それを体験するには冬の時期しかない、12月を過ぎると越後湯沢以
北には雪が降る、しかし関東では雪が降っていない。
それは劇的な変化と言っても差し支えないのではないか・・・。
主人公が乗った上越本線下りは清水トンネルを通るが、今は新清水トンネルを通るよう
になってしまった、複々線化の影響だ、追体験をすることはできないが、それはさほど
大きなことではない(と思う)
では先に進めよう。
越後湯沢構内はガラン・・・としている。
昼は行き交う人で溢れていたに違いない、これは19時30分の様子です・・。
というか、今私はとても急いでいる(撮影が斜めになってしまうほど・・・)
もう早歩きなので、ブレブレ!!!
へぎそばの有名店・中野屋に向かっている、
20時閉店と聞いているので、ギリギリ間に合うばず!!
ここが最も有名なお店だ、幸いなことに駅前、徒歩1分でいける距離にある。
しかし、現実は時として厳しいものだ、店員から本日は終わりましたとの無常なる宣告
が告げられしまった。
今の時期、営業時間短縮など、何が起きてもおかしくない、
私の考えが甘かったということだろうか。
ということで本日の夕食は、へぎそばからコンビニ弁当に替わりました。
『へぎそば』とは何???
片木(へぎ)と呼ばれる器に入っており、そばには布海苔が織り交ぜており、普段我々
が食べているそばとは異なる、
そして手繰りといって一口サイズに盛り付けてあるのも特徴だ。
明日食べよう!
こちらは西口の出入口だ、
その前には「なにかしらのマネキン」がいることに気づいてしまった・・・。
一見、異質にも見えてしまう。
この女性は「駒子」といい、小説『雪国』のメインヒロインだ。
越後湯沢で芸者を生業としている。
『う~ん、なんかね・・。』
越後湯沢には多くの宿泊施設がある、
本日宿泊する『高半(たかはん)』は最も右に位置している、徒歩20~30分と書かれて
いる。
高半は『雪国』ゆかりの宿として有名であり、今回の旅の中心となる場所だ。
越後湯沢駅西口(新幹線ホーム側)
新幹線の開通により、首都圏からの距離が飛躍的に縮まった、
そして今では新潟県の一大観光地の地位を築いている。
それは川端康成の小説『雪国』で一躍有名となり、そして新幹線の開通、JRのスキー
CMによる誘致・・・があり劇的な変化を遂げた。
昔は越後湯沢温泉という萎びた温泉街であった、今ではガーラ湯沢という駅もでき、
多くのスキー客が押しかけるようになった。
古参の純烈ファンが感じている感情と同じだろう・・・(笑)
西口にはセブンイレブンがあるので夕食を購入した、そのままタクシーに乗り、
高半に向かった、出待ちのタクシーが駅に待機しているので、とても助かった。
タクシーに乗ると5分もかからず到着、しかし流れる景色は暗闇、距離感はとても曖昧
に感じた。
駅からタクシーで千円ちょっとの距離、ありがたい。
それが5km、10mkなどになるとタクシー代がヤヴァイことになる・・・。
ゆっくり歩いても越後湯沢駅まで30分の距離だ、その間に見所が密集しているので
最高の立地といえなくもない。
葉っぱに滴があるように小雨が降っている、そして夜半には本降りとなっていた、
これが雪国の越後湯沢なのだな・・・と考えてしまった。
古めかしい引き戸には「雪国の宿 高半』とある、
その隣りには「湯元松坂屋 高橋半左衛門」ともかかれている、だから『高半』かと
納得した、おかしくはないが、あまり無いような名前の旅館名だから・・・。
チェックアウトを済ませ、エスカレーターで2階に上がる、想像以上に大きな旅館だ。
御神輿や豪華な照明、大きな絵画などが目につく。
『う~ん、想像以上に巨大だ。』
大きな広間を横切って、奥のエレベーターで客室フロアへ向かう。
エレベーターは古く、歴史を感じさせる、
古いことは悪いことではない、真新しいホテルは気持ちはいいが、歴史を感じさせる古
いホテル(旅館)も悪くはない。
客室は眺望が良い部屋を選択した、
とはいえ外は真っ暗なので景色は明日までお預けとなってしまう。
広縁があり、一般的な旅館の客室風景だ。
最近はホテルが多かった為、日本的雰囲気もとても良いように感じる、
布団はすでに敷かれており、座卓は端に寄せられていた。
こちらがお茶請けの「笹雪」だ。
ガムテープが置かれている!!
これは初体験だ。
これでカメムシを獲るということらしい、自身で獲ることが難しい場合はホテルにいる
カメムシハンターが獲ってくれるということだ。
広縁のテーブルにも羽アリやカメムシに注意・・という紙が置かれていた。
湯沸し器(ポット)があるのは、地味にうれしい。
もちろん水はすでに入っているので、ボタンを押すだけですぐに沸く。
こういうところに来ると、お茶を飲みたくなる不思議・・・。
もうすでに旅館の魔法にかかってしまっていた。
旅館高半の紋が入った手ぬぐい、
今思えば、持ち帰ってくればよかった・・・と後悔した。
旅館などの場合、原則手ぬぐいは持ち帰りはOK、ホテルのくせで忘れてしまってい
た、もったいない。
冷蔵庫にはよく冷えた水が入っている、こういう配慮もうれしい。
ホットコーヒーが欲しいところだけど、
こんな時じゃないと急須でお茶なんていれないからね。
私がもっとも嫌いな備え付けドライヤーだ、
この風力が弱く、とても使いづらい。
使うことは無かったが昭和感漂う味のあるお風呂だ。
羽織はやはりいい!
浴衣で歩くと裾を踏んでしまうことを除けば。
雪国の宿 高半
へぎそばがコレに替わってしまった・・・・。
でもセブンのそぼろ弁当も美味しい事実は変わらない、心の満足度の違いってことだろ
うか・・。
それに・・ゆでたまごもウマイ!!
では館内散策と温泉に入ろう!!
ここは2階の休憩室(大広間)と表現すれば いいのだろうか、
ストーブが着いており、この中は快適だ、それに広い、広い!!
周りには本棚が並び、とうてい読み切れないほどの本が置かれている。
画像に映っているのはその一部だ。
そしてなぜか、偉い人が座るようなデスクがドン!と置かれている。
休憩室の端には周りと異なる堅牢な門があった。
『これは何?』
この時間では施錠されており、中に入ることはできない。
この奥に小説『雪国』ゆかりの場所(いわゆる資料館)があるのだ、
これは明日のお楽しみとしよう!
温泉大浴場へ。
ここの温泉は「卵の湯」と呼ばれており、源泉をそのまま使用した43℃の温泉、
この温度は私の好みとぴったりだ、熱くてとても気持ちがいい温泉だった。
温泉後の休憩ルーム?!
卓球や畳エリアもあり、お風呂上りのくつろぎスペースになっていた。
コーヒー牛乳を買い、座布団に座りゴクリ、冷たい牛乳で体が冷めた。
至福の時間だ。
1階に下りる、近くまで来るとエスカレーターがブーンと突然動きだす・・・。
巨大旅館・・しかし全体的に暗い、照明を落としているのだろうか。
エスカレーターを下りた正面にはシアタールームがあり、映画『雪国』が上映されてい
た、20時~22時15分、2時間15分の長時間だ、
雪国ゆかりの宿で『雪国』を見る・・・というのも乙なものだろう。
こちらはフロント、私が最後の宿泊客だったに違いない、もうひっそりとしていた。
フロント横には周辺観光地のパンフや散策MAPが置いてあるので、
有難く頂いておこう。
奥には、お土産コーナーがある、お茶請けのお菓子やハッカ糖など、私の興味があるも
のがある、また雪国関連の資料もあった。
買っとくかな。
外をみると、さらに雨が強くなっていた、でも明日は晴れる、
それはほぼ確定情報、だから心配はない。
部屋に戻り、明日の散策ルートの確認をする、縮尺などあてにはならないので、
スマートフォンの地図を見ながら確認することした。
一番右には旅館高半があるのだが、近くには諏訪神社という場所がある、
ここも雪国を語る上で重要な場所だ、駅に向かう途中に雪国館という施設がある、
ここでも越後湯沢について、雪国について学ぶ上で、寄るべき場所だ。
押さえておこう!
駅近くには小説『雪国』の碑がある、
ただの石碑なのだが、折角なので行ってみようかな・・。
冬季閉鎖と書かれている、諏訪神社も同じように書かれているのだが、
どういうことだろうか・・雪に埋もれるのかな。
ホテルにおいてあった散策マップ
これが素晴らしい、本当に素晴らしい!!
「駒子と島村のあゆみを訪ねて」と題されている。
これを読めば雪国ゆかりの場所がとてもよくわかる。
そして歩いてみたいと思えるように、文章も工夫されている、まさに雪国の世界に引き
込まれてしまう。
当然ながら小説『雪国』も自宅から持ってきている。
この『雪国』という物語、どういう物語なのか・・・。
雪国の温泉町を舞台とした男女の悲しい恋を描いた物語・・・。
どう書いてよいものか、困ってしまう。
島村と駒子の会話が多くしめており、そのやり取りを楽しむ、そして川端康成の洗練さ
れた文章表現を楽しむことが雪国の読み方ではないだろうか、起承転結というものがな
く、この物語は突然終わりを迎える。
とてもモヤモヤする、煮え切らないと見えるかもしれない・・・。
島村と駒子の関係は不倫のような関係でもあり、すっきり終わるを迎えることはない、
そう考えると葉子の死は、この関係の終焉を意味しているのだろう。
難しく、考えさせられる小説だ。
《雪国・・・簡単な登場人物紹介》
◆島村
東京では文筆活動をしており、妻子をもっている
新緑の季節に雪国に訪れ、芸者駒子と知り合い、何度か駒子のもとに通う。
◆駒子
雪国で芸者を生業としている、踊りと三味線の師匠の家で生活をしている、
かつて東京に売られ、身請けをされたが、その男が亡くなったため、雪国にたどりつく
島村と初めて出会った時は19歳の時。
◆葉子
駒子の知り合い、病気の行男を看病している。
◆行男
病気に冒されており、駒子の師匠の息子、駒子とは幼馴染の間柄
では寝ようかな。
小説『雪国』ゆかりの宿・高半に泊まろう!《その1》 完