関東から十分に日帰り旅行も可能ではあるが、そこに中棚荘を入れることで、その旅はさらに奥深いものとなるだろう。
その中棚荘前に来ています。
ここは島崎藤村ゆかりの宿・中棚荘とされており、藤村が泊った部屋もあるという、
この宿は人気があり、土日などは本当に予約しにくいのだ、今回は平日ということもあ
り、かなり前から宿泊予約を入れていた。
ここには大正館・平成館に分かれており、大正館はその名の通り、昔からの古い客室と
なり、お手洗いなども共同となる、平成館は比較的新しくお手洗いも完備されている。
さぁ、どちらにする?
藤村の間が空いていれば、迷いなく一択なのだが、
その限りでなければ、『平成館だな~。』と思い決めた。
暖簾にセンスを感じてしまうではないか、では入ってみよう!
戸を開けると、重りが上がり、また勝手に重りが下がることで戸が閉まるという仕組
み、動力を使用しない半自動ドアだね。
まずはここに案内される、正面には島崎藤村だ。
チェックインはフロントではなく、書籍で囲まれた休憩室で行われる、ここは暖かく、心地よい場所だった。
ドアではなく、引き戸というところに趣きを感じる。
客室に案内される、窓からは小諸らしい景色がひろがっている・・といえば聞こえはよいが、正直にいうと良い景色とは言えない、『千曲川が見れればな~』と思うのは贅沢か・・・それでも山々がある景色はとても穏やかだ。
客室内はいたって普通、それが最もいい、普通が一番なのだ。
お茶請けにはくるみ糖とみすず飴、旅の疲れにはちょうどいい、みすず飴は信州の銘菓なのだが、今では関東でも普通に手に入る。
こういうお宿、お茶請けがあると、どうしても緑茶を飲みたくなってしまう!
この辺りが中棚荘らしい、頬杖を突きながら景色を眺め、書を書く・・・さすが文豪の宿、そしてテレビは小さい、あまり大した影響はないが、でも大きい画面でテレビ信州を視たかった・・・。
このふんわりとしたお布団が気持ちよかった、旅館のアンケートには、そのことを書かせてもらった。
薄茶色のタオルがいいよね、それに合わせた茶色の足袋。
これはセンスのある浴衣、また浴衣が大きすぎると温泉にいく階段で踏んじゃうんだよね。
ドライヤーはしょぼいが大した問題はない、多くのホテルはパナソニック製だよね。
お手洗いはしっかりと洗浄式トイレでした。
では、これを持って温泉に行こう!
「文人風呂」とかかれている看板を発見。
「樹林の湯 観月の湯」
一旦、外に出るような造りとなっているが、屋根、側面には雨除けがしっかりと貼られているので雨に濡れることはない。
樹林の湯が男湯となっている、女湯(観月の湯)はさらに上にある、景色はいいのかも
しれない。
では、この時期にしかない温泉に入ろう!
ここから4枚は公式HPよりお借りしています。
見ての通り、脱衣所と湯舟・洗い場に境目はなく、丸見えである。
なんとも落ち着かないよね。
お湯がこんこんを湧いており、気持ちがいい、温度は適度に熱く、大満足。
でも外の露天風呂は外気のせいだろうけど、かなり冷めている印象。
この時期は初恋りんご風呂へと変わる、そうこの時期を待っていたのだよ!
(時期は10月~5月)
中棚荘は文豪・島崎藤村ゆかりの宿、その著でもある「初恋」をモチーフとしている、
物語の中では少年がりんご畑の少女の初恋をする・・・。
ここの温泉は真夜中でも入れるので、とってもありがたい(24時間入れます!!)
深夜に入り、一人でりんごを集めた・・・・。
けっこう急な階段になっている、お年寄りにはつらいかもしれない。
あと浴衣を踏んでしまう。
本当にいい温泉だった!!
ちなみに源泉かけ流し、この響きはサイコーだ(笑)
館内散策も旅の楽しみ、長い渡り廊下には絵と詩が所狭しと掛けられている、
掛け過ぎでは・・と思うほどね。
こちらはロビー階(1階)
戸が閉まっている部屋が休憩室、こちらで先程チェックインをした。
こちらの廊下にはパンフなどが大量に並んでいる、散策MAPは是非貰っておこう。
ここで読書をするのもいいかもね、でもお酒が入ってしまうとね・・・・。
この島崎藤村がよく出回っている「藤村」だと思う、
藤村は岐阜県中津川出身、本名を島崎春樹という、代表作では「破戒」「若菜集」「夜
明け前」などがあげられる。
小諸と藤村の繋がりとは、小諸義塾、その塾長木村熊二からの誘いにて、英語教師とし
て小諸に来たことによる。
中棚荘の上には、木村熊二が書斎とした水明楼があり、藤村も度々来ていたという。
隣りは、ロビー兼お土産コーナーになっている、
またラウンジがあり、サイフォン式のコーヒーと生ビールも飲むことができる。
こちらは平成館側の階段、二階に上がり長い廊下をいけば平成館だ。
そしてウーパールーパーがいた。
部屋に戻り、明日のプランを練る、旅館においてあった散策マップと睨めっこ・・・といっても小諸は詳しいので、あまり見る必要はないのだけど。
『中棚』という章があるので、読み返してみる。
小諸駅隣接の観光案内所でもらった「紅葉まつり」パンフレットを見返す、
お得なクーポンが付いており、丁子庵でも割引を受けることができた。
こういうお得なクーポン・情報があるので、その地にいったら観光案内所には顔を出す
べきだろうな・・。
パンフレット裏には、小山田いく先生の絵があった。
では寝ようか・・・・・。
そして翌日、昨日とはうってかわり晴れとなった、今日は良い観光日和となりそうだ。
外を見ると、裏庭が見える、向こうには見えるのはヤギだろう、あとで行ってみるか。
ということで裏庭に来てみた、それにしても寒い、寒すぎる。
小諸の朝は関東の比ではない、身体の芯から寒いといった感じだ。
鴨には寒いという感覚がないのだろうか。
かたくなに向いてくれないヤギ、まぁいいや。
裏手をさらに歩くと、「はりこし亭」がある。
ここは食事処であり、夕食は予約製となる、建物は登録有形文化財となっている、柿が晩秋を感じさせる。
朝食会場は平成館とは繋がっておらず、外を通り行くことになる、大正館1階の食事会場に案内された。
信州味噌仕立ての味噌汁は本当に美味しかった!!
おかわりしたいぐらい!!
麦とろ御飯はウマイ、ちょうどいい量、そして美味しい!!
朝からパワーをくれる朝食に感謝だ!
そして休憩室まで戻ってきた、
暖炉には火が入っており、時折木がパチパチと音をたてている。
最初は『なぜバイク??』と思っていたが、先ほどの朝食会場で理由はわかった。
朝食会場の休憩スペースで 雑誌を読んでいると、女将と話す機会があった、
けっこうなお年だとは思うのだが、現役のバイク乗りとのことだった、
それも昔から乗っていたのではなく、近年に免許をとったという、スゲーな!
なんでも長距離のツーリングにも行っているマジモンだった!!
年など関係ない、やりたいことがあれば、やってみる
なんだか、朝から良い話しを聞けて、オレの観光散策魂(?)にも火が点いた!!!
では、名残惜しさもあるが出発だ。
これからレンタルサイクルで布引観音に参拝、懐古園を散策、そして横浜に帰るというプランだ。
紅が眩しい、では今年最後の紅葉を楽しもう。
晴れっていいね!
こちらは水明楼、かつての木村熊二の書斎だ。
ここからの景色は素晴らしいと島崎藤村も言っていた、当時と今では相当違うのだろう
か・・・。
小諸駅に行くにはゆるやかな長い坂を上がっていくことになる。
でも傘を差していなければ、なんてことはない。
小諸義塾跡まで来た、目の前は小諸駅だ。
陸橋を渡り、小諸駅へ。
ガラス窓から見える山々が美しい、山の麓にある町・小諸ということがわかる光景だ。
では小諸駅の観光館内所でレンタルサイクルを借りよう!
★信州小諸・島崎藤村ゆかりの中棚荘に泊ろう! 完