奥能登に「あえのこと=田の神まつり」を拝見するために来ている。
「あえのこと」とは何かはこの導入部でご確認下さい ↓
12月5日、毎年同日は「暮れのあえのこと」の日だ。
これは奥能登の農耕神事であり、現在公開して頂いているところは数カ所しかない、
今回の旅では「あえのこと」を3カ所周らせて頂く。
「あえのこと」の開始時刻は、特に固定されておらず、各家庭(場所)により異なって
いる、そのおかけで3カ所見ることができるのだ。
今回の旅の予定はだいだいこんな感じで考えている。
(1)和倉温泉駅発⇒(レンタカー移動)⇒合鹿庵(柳田植物園内)
(2)合鹿庵⇒(レンタカー移動)⇒珠洲市・個人宅(田中様邸)
(3)珠洲市・個人宅⇒(レンタカー移動)⇒三井の里・旧福島邸
(4)三井の里・旧福島邸⇒(レンタカー移動)⇒和倉温泉(あえの風)
このブログでは(2)からスタートする。
1つぐらいは観光地を見たい(見なくては)と思い、中継地点とした。
見付島の駐車場であるが、平日しかも雨ということもあり、観光客は0人・・・。
と思いきや1組いた、雨の中、ベルを鳴らし気合で観光を楽しんでいた。
※よく観光地にあるベルね(鳴らせば幸せなるとかね・・・。)
自転車専用の駐輪場もあるが、もちろん停めている人なんていない。
傘をさして歩いて行くが、寒々しいし、ぴちゃぴちゃと水たまりを歩きながら進む。
「お~!」
何度も旅行ガイドブックで見た光景だ、この道をいけば(これを道をいうかどうかはお
いといて)あの島まで行くことができる(と思われる)
こんな日に歩く度胸は1mmも無いのだが・・・。
鳥居の上にいるのは、鳥4羽??!
別名、軍艦島というらしい、どうすればこんな島が誕生するのか・・。
ショートケーキに見えなくもない。
愛称「ショートケーキ アイランド」(KIT命名)
初冬の寂しい見付島でした、別の意味で印象に残るかもしれない。
駐車場の一角には、重厚な案内図があった。(それにしても立派な柱だ)
目を凝らしてみると・・・・。
「なんと!!!」
珠洲市の「あえのこと」が記載されている。
個人宅といえど、観光案内に書かれている?!
ふしぎな感じもしたが、こんなこともあるのだろう。
もう1つ気になる場所があった、それは珠洲焼資料館だ。
とりあえず方角は同じなので行ってみることにした。
(今考えれば、欲は出すべきではなかった・・・。)
車を走らすといつしか蛸島という地名に変わる、
名前だけはしっているのだが、かなり能登半島の奥まで来たということはわかった。
ナビに従い到着すると、博物館なのにホテルのロータリーに着いた、
よくみるとホテル敷地内に珠洲焼資料館があった。
しかし時間をみると13時少し過ぎ、
あえのこと神事は14時から始まる、場所はわららないし、迷う可能性は高い。
実際にはすげー迷った・・・。
珠洲焼資料館を10分で見れば、時間的には大丈夫だろうが、そんな見学は不誠実すぎ
る。
オリエンテーリングじゃないんだから。
ということで、泣く泣くあきらめることにした。
今回の目的を考えれば、至極当然の答えだろう。
とても気になるのだ、珠洲焼。
よいグラスがあれば買おうと考えていただけに、とても残念だ。
それにしても雨がすごい・・・。
しかし前回の「春のあえのこと」に比べたら、春のそよ風に過ぎない、
あの時は何度も雪にタイヤをとられ、冷や汗をかいた・・・。
少しだけ、来た道を走り、そして内陸へ車を走らす。
いつか、春・夏の晴天の日に行ってみたい。
などと考えていると、
珠洲市の「あえのこと」の見学させていただける個人宅周辺まで来た。
事前に珠洲市の観光交流課に住所を聞き、その際とても分かりずらいとも言っていた、
たしかにその通りだった・・・・。
とても雰囲気の良い場所であるが、雨がすごい・・。
番地は聞いていたので、その周辺を周るのだが、それらしい自宅はない。
表札もないので、3・4回ほど周っていると、心が折れかけてきた・・・。
もう一度、珠洲市に連絡するが、目印的なものはないらしい。
それに雨なので誰も歩いていないというのが、さらに状況を悪くした・・・。
あとは、メディアが多数来るはずなので、その車が入る家屋を見つけるしかない、
そしてそれがドンピシャと当たる、1台の軽自動車が1軒の家屋に入っていく、
すかさず、聞きにいくと、『この家です』との返答を得た。
そして一緒に入らせて頂くことになった・・・。
個人のご自宅なので、ご紹介は最小限にします。
外から見ても、絶対に気づくはずがない場所であり、中に入ると土間があり、
大変立派な田舎家屋であった。
神棚の下に神座がつくられている。
こちらに関して詳しく聞けばよかったと後悔。
種籾俵四俵がおかれ、その前に御膳が用意されていた。
その家庭により、御膳も異なる、
口伝により連綿と続けられてきたので、その家庭の特色があるという。
こちらは2つとも、股割れ大根となる。
栗箸は大きいものが用意されている。
小豆ごはんがまんまるであり、なんだかかわいい、それにとても美味しそう。
魚はメバルだろうか。
あとは、なます、煮しめ、生豆腐の料理。
煮しめは、大根・人参・芋類の・昆布など能登で採れた食材が使われている。
額には、先代のあえのことの場面が飾られている、積雪のあえのこともたいへん趣がある。
このような機会を頂けるのは感謝しかない、
「あえのこと」は本来では、閉鎖的なのもであるはずのものだから。
14時から神事が始まる、
周りにはご近所さまと思われる人が15人はいただろうか。
みな、じっと真剣に見ているのが印象的だ。
お風呂にもご案内する、樽風呂、五右衛門風呂など、時代により形がことなる、
いまはバスタブの時代に。
ものは変わっても、感謝の念、しきたりは変わらない、なんかいいな〜と見ていた。
座布団をご用意して、囲炉裏で暖まって頂く。
そこには、たしかに田の神様はいるのだ。
収穫の感謝を申し上げ、
ご用意した御膳を一つ一つ説明をしていく。
田の神様がお召し上がりになると、あえのことは終わりとなる。
その後、見物人には甘酒が振る舞われて、
甘酒の数が無くなった為、小豆ごはんのおにぎりだろうか、それをいただいた。
とても暖かく、美味しかった。
その後は新聞社の方の取材がおこなわれていた。
見物人たちは座敷に飾られいる写真などをみて楽しんでいた。
みなさん、流れ解散的に自宅に帰っていく、
私もありがとうございましたとお礼を申し上げて古民家を出た。
残念なのは、
個人宅での拝見ということで、横浜から土産を持ってきていた、
有明のハーバーなのだが、お渡しすることができなかった・・・。
ご自宅がわからず、捜索に時間を費やしてしまった、
(ダメ元で歩いていると)ようやく見つけ、そのままの流れで入ってしまったのだ、
もう取りに行く時間もなかったので、渡すことはできなかった。
こんな素晴らしい神事を見せていただき、さらには、おにぎりまで頂いた。
そこだけが残念であり、少し申し訳なく思った、もちろんそんなことを望んでいるわけ
ではないとはわかっているのだが。
積雪時のあえのことも見たいな・・と考えてしまった。
まだ、今回の奥能登「あえのこと」の旅は続く。
珠洲編はここで終わらせよう。
ホームページにお名前が書かれていたので、ここで書いてもよいだろう。
田中家の皆様、誠にありがとうございました。
「あえのこと・そのもの」を見せて頂いたことは、最高の記憶となった、
この伝統、いつまでも続いて欲しいと切に思う。