4月1日はエイプリルフールだ、そして『桶川まつり』の日でもある。
本日の目的はこの祭りを見ることだ。
また、この三都物語の締めくくりに相応しいだろう。
長良温泉・十八楼を出発する!!!
『本当にいい旅館だった~!!!』
とても名残惜しいが『オレには桶川まつり』が待っているのだ。
川湊灯台はいい!!
『上有知湊にも行きたくなってしまう・・・・。』
鵜匠の像と背後には十八楼が見える。
この道路を挟さみ反対岸には岐阜駅方面の長良橋バス停がある。
階段下を見ると公園になっており桜が咲いている。
なんか、得した気分だ。
鵜飼も見てみたいのだが、いつになることやら。
長良橋バス停でバスを待つ、かなりの本数が来ることに驚く。
ほぼ全ての系統のバスがJR岐阜駅を通過する。
ここから15分ほど乗りJR岐阜駅に向かう、乗っている人の大多数が通勤客だ。
『有給でスイマセン・・・。』少し肩身が狭い(笑)
8時10分頃にバスに乗車。
JR岐阜駅を通り抜け、反対側へまわり、少し歩くとレンタカー会社がみえてくる。
ここから新幹線・岐阜羽島駅・乗り捨てにて車を借りた。
ここから川辺町までは車で1時間ほどかかる、
高速を使い一気に距離を縮める、10時から始まると聞いているため、それに合わせて向かうが、とてもとても順調に進み、9時30分に到着してしまった。
街道を曲がるとノボリ旗がはためいていた、天下の奇祭と書いてある。
高山線の踏切を越え、すぐに右折する、
グランド沿いを走るとトイレ前に駐車スペースがあり、そこに停めてみた。
近くでたばこを吸っていた地元民らしき人に、ここに停めてをよいか一応聞いた、
『グランドでもいいよ。』とのことだった。
グランドを見ると1台の車も停まっていないし、トイレ前の駐車場には他の車は停まっていない。とりあえずトイレ前に停めた。
見学者で一番乗りとなってしまった!!
岐阜駅⇒縣神社へ。
ここがグランドだ、なんのグランドだろうか。
二宮尊徳像があるので、かつての小学校跡地かなと勝手に推測する。
まずは、桜を撮影、この時期の定番だ。
まだ2分咲きだ。
踏切の先に見えるのは走ってきた国道だ。
天下の奇祭旗がなびく!
突然踏切が鳴り、ワイドビューひだが通過して行く、列車から縣神社は見れるのだ。
だからなんだ?と言われたらそれまでだが。
踏切側から鳥居を見る。
緊張しながら神社に向けて歩を進める。
少しでもお仲間がいればよいのだが、全て地元の方々だ。
そして感動の瞬間だ!
鳥居を抜けるとこじき衣装と祭壇?がもう見えてきた!
これはよく見るとこじきの人形だ。
その向こうには第二の鳥居が見えて拝殿がある。
本日ここで何があるのか?
桶川祭り、通称『乞食祭り』だ!
乞食?
開催日は4月1日、曜日は関係なし!
見物客の都合など関係なし、硬派な祭りだ。
好きだぜ!硬派!
2019年の4月1日は月曜日、普通なら来れない。
だから有給を使うしかない!
ここで使わずにいつ使うのか?
率先して働き方改革だ!!
なぜ、乞食祭りなのか?
古事記ではない、乞食だ、最近ではあまり聞かれなくなった言葉だ、放送禁止用語ではないらしいが自主規制対象らしいのだ。
差別用語だからなのか?!
よくわからないのでこれ以上は考えない!
ここでは、乞食は人ではない。
ここだけ聞けば、『ひどいこと言うなー』と思うかもしれないが、
『ちがうんだ!聞いてくれよ!』
※誰にいっているんだ?
『人間ではなく、神様なのだ。』
『どういうこと?』
『教えてくれよ〜。』
時は遡ること、江戸時代。
干ばつが続き、飢饉となった時期があった。
この地に乞食がどこからともなく現れ神社に住み着いた。
村人は食べの物などを分け与え親切にした、その年は雨が振り豊作になったという。
村人はあの乞食は神様だったのではないかと考え、それが伝承となったという。
『なんと!』
この祭りは300年近くの歴史がある。
かつては、ホンモノの乞食をつかっていたとお歴々は言っていた。
今では事実上乞食は日本にはいない、ホームレスはいるが。
代わりに厄年の男性が乞食に扮している。
だから毎年ちがう乞食となる、はまり役もいるだろうし、少しイメージと違う人もいるかもしれない。
今年の乞食はどうか?
スケジュールを確認しよう。
10時から受付
11時から神事となる。
この時間から乞食様が登場した、そして最後まで原則同じ場所で座っている。
12時から直会。
14時、おこわかぶせがある。
見ての通り、約2時間ほど空くのだ、ここが工夫と忍耐の見せ所だ。
15時から餅投げで終了となる。
なかなかの長丁場となる、装備は最高のものにしたい。
歩きていける場所にお店や自販機はないので、事前に購入することをオススメする。
メインだけなら、
14時少し前でよいかもしれないが、
乞食様と語らう時間がとれないかもしれないよ!
お歴々が正装して神事が始まるのを待っている。
振り返ると誰もいない、時刻は10時10分。
こんなに早いんだ、いなくて当たり前だ。
二宮尊徳像が木に同化している・・・。
かなり暇なので適当にプラプラしては写真を撮っていた(笑)
高山線が通過していく、暇なので撮る!!
地元の消防団は早くから来ており車の誘導をしている。
時間があるので特急を待つ。
4月の第3週には飛騨高山で春の高山祭がおこなわれる、見たいけど資金がない・・。
10時55分、とうとう動き出した!
こちらに歩いてきます、後ずさりをしながら距離感をとる。
気づくとすぐ近くに乞食様がいる。
壊れた傘は標準装備だ。
切れてヨレヨレで汚れている麦わら帽子は良く似合う。
長靴は実用的だ。
進行役の隣りに乞食様が立っている、その横にはお歴々が整列している。
これから何かが始まるのだ。
乞食様が左手に持っているのは鍋なのか?!
これは神器といってもよいのだろうか・・・。
乞食様が座る(神殿といってもいい?)を中心として整列する。
こちらが今年の厄年の乞食様だ。
お祓いがおこなわれる。
神聖なる場所、でも神様である乞食様も一緒に並ぶという。
この中にはおこわが入っているのだろうか・・・。
皆が拝殿に向かうなか、乞食様はブルーシートもとい聖なる場所で胡坐をかく。
時刻は11時7分だ、おこわかぶせまで3時間近くあるのだ。
早速、乞食様の鍋(?)にお賽銭をする人がいた・・。
次に消防隊の人がお賽銭を入れる、
乞食様は深々と頭を下げる・・・。
そしてイベントが発生した!
伝統のたばこのお恵みだ。
これで乞食様は上機嫌になる・・・。
たばこをよく見てほしい。
たばこに楊枝が刺さっている、これがシケモクの吸い方である。
お金もよいがたばこをお渡してもよいかもね。
拝殿内では神事が始まっていた。
神事が粛々と行われていく。
一方、乞食様の周りには子供たちが集まってきた。やはり人気者だ。
拝殿内では巫女舞がおこなわれている。
12分ほどで巫女舞は終わる。
参拝者玉串拝礼へと移っていく。
一方、境内の乞食様はというと・・・。
ほぼ人はいなくなり、ポツンとしだす。
しばらくすると、子供が乞食様の元に来た。
乞食様と子供たちとの語らいがおこなわれている。
そして神事は12時30分少し前に終わった。
次の神事『おこわかぶせ』は14時からだ、約1時間30分ほど待機となる。
しかも雨が本降りになってきた、急いで車へ逃げ込む!!
(電車で来ている場合はどうすればよいのだろうか?! 私も最初は電車での訪問を考えていたが、雨にあった場合、どこにいればよいのか・・・。)
車の中で昼飯を食べる。
フロントガラスには雨が打ち付けている。
雨は30分ほどで止み、青空へと変わっていった。
では散策してみよう。
神社前の踏切は『県神社踏切』だ。
13時9分、ワイドビューひだが通過していく。
(開催日9月1日・2日・3日)
1日のホテルの予約はした、2日は有給かな・・・。
陸橋から眺めてみる。
真下には国道41号線が走っている、この脇道が縣神社へ続く道だ。
いい空だ、今日の天気はもう大丈夫だろう!!
13時15分、再び境内へ。
乞食様を見に来たのだが、散歩にでも行っているのだろうか・・・。
弁当パックがあり、食した形跡があるぞ!
そして日本酒は金泉だ。
お賽銭は無造作に置かれている。
千円札がかなり入っている。
境内には人の気配がなくなった。
地元民は自宅に戻り、見物客は車に戻ったのだろう。
14時から桶川まつりと式次第には書かれていた。
それは『おこわかぶせ神事』のことだ、これがまたすごいのだ。
乞食様が戻り、地元の子供たちに再び囲まれる、やはり神様は人気だ。
そして雨が止んだので雨除けのブルーシートは撤去されていった。
地元テレビのカメラマン(カメラウーマンか)も撮影にきている。
ここでシケモクをおいしそうに吸う乞食様。
おいしそうだ。
そして『ひさご金泉』を勧める乞食様。
気づくと拝殿下に何かが置かれていた。
『オコワ』だ。
13時45分頃、乞食様の周りに人が集まりだす。
この微妙な時間の緊張感!!!
13時55分、乞食様の正面には道ができる、その両脇に人が並ぶ。
『この童・・・できる!』
14時00分、進行役の合図とともにおこわが出立する。
お歴々の方が三組に分けておこわを担ぐ。
『ワッショイ、ワッショイ!』
最後の組は氏子総代班となる、
拝殿前の鳥居から入口の一ノ鳥居まで担ぎ一周するのだ、酒が入っているのかしんどそうにも、楽しそうにも見える。
そして14時8分、とうとうおこわが乞食様の前に到着した、ついに始まる!
乞食様の手をめがけて、おこわを落とす!
皆の目が怖い!
一斉にオコワめがけて飛び込み、手を伸ばす!
そこには子供、老人、女性、そんなの関係ない!
やるか!
やられるか!
ただそれだけだ、なんて簡単な論理だろう。
人間の原点がここにある!
そして世界には勝者と敗者しかいない。
単純でなんと無慈悲なのだろう。
乞食様から直接頂いたご婦人が一番の勝者ではないかと思う。
そして人の波が引いていく。
先ほどまで人の渦の中心にいた乞食様。
冷静さを取り戻した。
よい顔をしておられる。
手についたおこわに複雑な思いをはせる。
手をついたおこわを食べる、その味はどんなものなのか?
そして神事・おこわかぶせが終わる、
束の間の夢を見ていたかのようだ。
私も一摘みのおこわを口に入れる、
『美味しい・・・。』
『おー!』
乞食様が童からお賽銭をもらっていた。
そして、境内ではお餅投げの準備が始まった。
至る所に餅の入ったたらいが置かれる。
ここにも。
1つのたらいには多くの餅が入っている。
ついに式次第最後の行事が始まる。
境内には本日最多人数が集まっている。
皆、かなりの臨戦態勢。
餅が撒かれると老若男女問わず、飛びかかる。
カメラを構えながらも7つほどゲットした。
しかし、前を歩いていた婆さまはスーパーの袋いっぱい入っていた。
一斉に帰宅だ。
ここから横浜に帰るのは私ぐらいだろう。
乞食まつり、
決してスポットライトは当たらないかもしれないが、言葉通りの天下の奇祭だった。
2018春・三都物語【岐阜川辺町・桶川まつり編】 完