「会社の様子を見に行ってくる。」とKITは言い、自宅を出ていった・・・。
『君子危うきに近寄らず』という言葉があるが、私は君子ではない、
その為、お盆休みなのに、会社の様子を見に行ってしまう。
天秤を持つ、あらゆることにバランスが大事なのだ。
ここで注意だ、
人ひとりが心配して、様子を見に行っても、あまり意味がないことが多い、
じっとしているという決断も時として大事である。
気にはなるが、決して田んぼの様子を見に行ってはいけないのだ。
そんなこんなで、私は無事、会社を出て、横浜に戻ることができた、
でもなんか、物足りない・・・。
私の足は、私の意志とは別に、横浜駅東口に向かい、歩いていく、
そして当時、世界最大級と言われた百貨店のエレベーター前に立っている。
6階で降りると、すぐにそれが目に入ってきた。
フェルメール 光の王国展2018(そごう横浜美術館) の入口である。
ここにはフェルメールの全作品37点が展示されている、
K「おいおい、話しは最後まで聞くもんだ。」
「ル・クリエイト」という、複製画である、
デジタルマスタリング技術を使い、原寸大で再現しているのだ。
大人1,000円を支払い入場。
クラブカードを持っていると800円となる。
複製画だから、写真を撮ることもOKだ!!
上記は、『マリアとマルタの家のキリスト』という初期の作品だ。
だから、普段では馴染みのあるシャッター音が、
普段は聞けない場所(=美術館)で聞くことができる。
『聖女プラクセデス』
少しシュールな感じの絵である、そして賛否が分かれている作品でもある、
私は詳しくはないので説明は割愛する・・・・。
『ディアナとニンフたち』
一見すると当時の普段の光景にように見えるが、ギリシャ神話の一場面、
女神ディアナとニンフ(妖精)である、フェルメールの作品で異質を言えるかもしれない。
そして『犬』に注目だ。
『取り持ちの女』
フェルメール初の風俗画と言われている、売春宿と思われ、高級娼婦とそれを買った男、その隣りの女性が取り持ちの女である。
『眠る女』
眠る人と表記されていれば、一見男と思ってしまうかもしれない、特徴的なヘアスタイルをしている、これが当時の流行りかどうかは知らない・・・。
手前にあるワインを飲み、眠ってしまったのだろう、
何かに悩んでいるのか、ただ怠惰なだけなのかは、わからない。
『窓辺で手紙を読む女』
美しく見える絵であるが、なにかもの悲しさを感じる、
果物が崩れ落ちており、窓ガラスに映る女の顔は、落胆か、絶望しているかのように感じさせる、下に折れている手紙も、それを暗示しているのか・・・。
そして、これには、だまし絵の手法がとられている、それは『カーテン』だ。
「閉店ガラガラとは、違いますがね・・・』
『兵士と笑う女』
兵士が影となっており、この絵からは良い印象を受けない、
一方女性側は明るく、ワインを持ち、笑顔である、左手の手のひらが上に向いている、
これは『取り持ち女』の流れを組む作品かもしれない。
そして、大きい地図が気になる、どこに地図だろうか・・、オランダである。
馴染みのある作品が見えてくる。
『牛乳を注ぐ女』
フェルメールの代表作の1つであり、これを知ってい人は多いだろう。
これは使用人の女を描いており、土鍋に牛乳を入れ、硬いパンをいれ、煮る前の場面だ。
私も小さい頃には、やっていた・・・・『チョコワに牛乳を注ぐ子供』
『 デルフトの眺望』
フェルメールが生まれ育った町である。
良く見ると牛乳を注ぐ女がいる?!
『二人の紳士と婦人』
女性がフレームの外・・・ではなく、こちら側にたっている人を見ているのか・・・、
取り持ち女がいるのか、どうかは想像に任せるとして、男女の関係を求めている紳士が婦人にワインをすすめているのだろう。
『天秤を持つ女』
なんか、響きがかっこいい、そんなことはどうでもよいのだが・・・、
この女はなぜ、天秤を持っているのか、さらに天秤には何も乗っていない、
これは何かの象徴と考えるべきだろう、背景の絵画には最後の審判が描かれている、
生き方について考えさせられる絵である。
フェルメールの代表作である、これを見たことがない人はいないかも・・・というぐらに有名な絵である。
これが誰なのか、想像上の人物か、詳しいことはわかっていない、
その美しさから『北のモナ・リザ』とも呼ばれている。
『窓辺で水差しを持つ女』
さて、よくわからなくなってきた、水差しを持ちながらも、それにはあまり気にかけているようには思えない、右手で窓枠を持っているからだ、
これが何を表現しているかは、誰も知らない、知っているのは、描いた本人だけだ。
窓が少しだけ開いている、この女性の今の境遇が袋小路に陥っているのか、
何かの理由で将来を不安に思っているのかもしれない。
または、ただの『落ち着きのない女性』なのかもしれない。
必ずしも、意味を持たせる必要はないからだ、自由にいいではないか・・・という
ことかもしれない、だが、誰も答えを持っていない、だから面白いのだ。
『稽古の中断』
これは男から求愛されている女性と見るべきだろう、
机の上にはワインがあり、手には楽譜とは思えない手紙を持っているように見える、
背後の絵画は(愛の)キューピットが描かれている。
そして女性はあまり喜んでいるようには見えない、扉の向こうの人物もしくは我々を
見ている・・・。
音楽の教えは一流であり尊敬はしているが、男性として見る事ができない、
今の関係性を崩すことに戸惑いを感じているのかもしれない。
『音楽の稽古』
さて・・これも男女の愛をテーマにしているのだろうか。
鏡の中の女性は男性教師に視線を向けている、かつてはこの男性に対して恋愛感情があったのだが、今は無くなっている、
女性が背を向けており、お互いの椅子が逆に向いている、とても微妙な関係になっているのかもしれない。
1つの絵に5・6人ほどが囲む感じの混みぐらいだ。
『恋文』
状況を見ると、女中が楽器を弾いている女性に手紙を渡している、もちろん男からの恋文である。女性は少し驚き、もしくは困惑しているような表情をしている、
期待の感情か、嫌悪の感情か・・・。
そして説明書きにもあるように、構図は誰かがのぞいているようにも見える。
部屋の外には地図があり、よれた楽譜も見える、かつての男は、音楽の教師であることが想像できる、そしてほうきも意味深である、過去を掃くということか・・・。
外は過去の男、中は現在の女性。
これは未練ある男からの手紙であり、形にならない恐怖を感じているのかもしれない、そんな不安にさせる絵である。
『ギターを弾く女』
構図に偏りがある、
ギターを楽しそうに引く女性、その視線の先には・・・、誰がいるのか?
もちろん、牛乳を注ぐ女だ!!
冗談はさておき、もちろん男性であり、仮に音楽教師としよう、
右半分は暗く、この恋の危うさを表しているのだろうか、
そして絵画の中の絵画は、青空の見える清々しい光景であるが、天気というものは
移ろいやすいものだ、曇りとなり、雨が降り、大嵐にもなりえる。
さて、この女性の恋の天気予報はどうなるのか?
『地理学者』
『天文学者』
フェルメールもたまには男性単体も描きたくなるのだろう。
また手紙もらっているのかよ・・・・。
楽器が展示されている部屋がある、
これは絵画で描かれていたものだな・・・、ヴァージナルという。
こんなコーナーもあります。
絵に込められたメッセージを説明しているコーナーもある。
これは初心者にやさしい。
こちらも。
こちらにも・・・、
これでフェルメールのファンになる人、絵画に興味を持つ人がでてくるかもしれない。
『絵画に興味を持つ女』なんてね・・・。
当時のインクのことも紹介。
出口には、『越後の海』が!!
一気にオランダから日本に、しかも新潟に引き戻される、ジェットコースター(笑)
ここを出ると、ショップが待っている、
これが罠だ!!
なんと、周到な罠だ!!!
買ってしまうやないかい!!!
少し、いつもと異なる志向ではあるが、とても楽しいフェルメール展だった。
何も本物だけが全てではない、
『機会』を持って、『気づき』『興味』『楽しさ』を得ることもできる。
フェルメール展を見に行ってくる! 完